多汗症とボトックス

しわ取りでおなじみのボトックスが多汗症治療にも使われていることを知っていますか?

ボトックスとはボツリヌス毒素を製剤化したもので、神経に働きかけてアセチルコリンの分泌を抑える効果があります。

これにより筋肉が自分の意思と無関係に動くことを抑えるので、笑いじわなどを消すことができます。

それがなぜ多汗症治療につながるのかというと、汗が出るのはこのアセチルコリンが働くから。

汗を出す素となるアセチルコリンの働きを抑えることで、汗を出なくするのが多汗症におけるボトックスの作用です。

しかし、多汗症治療にボトックスを用いることは日本では2008年現在、認められていません。

アメリカなどでは承認されているので近い将来日本もそれに続く可能性はありますが、
現在のところはあまり医療行為としておおっぴらにできることではないと考えてください。

多汗症治療でのボトックスは、汗をかく部分に直接注射するだけ。

十数分で終わる手軽さが魅力ですが、ボトックスでは多汗症を完全に治療することはできません。

ボトックスの効果は期間限定のものなので、数年に一度打ち続けなければまた多汗症の症状が顔を出すことになります。

また、ボトックスが多汗症に働きかける効果は人によってずいぶん違います。

まったく汗をかかなくなる人もいれば、思ったような効果が出ない人も。

多汗症治療としてボトックスを行うのならそれを十分理解し、医師としっかり相談して、納得した上で施術を受けましょう。

多汗症の対策

多汗症の対策は病院に通わずとも日常生活で行うことができます。

代表的な物が制汗剤。最近は種類も豊富になってきていますし、効果の高いものがたくさん出てきました。

一般に売られている制汗剤ではスプレーよりも直塗りタイプが効果が持続するようです。

多汗症対策として人気が高いのがアルミニウム入りの制汗剤。

特にわきの下の多汗症に効果が高いといわれていて、インターネットなどで買う人が増えてきています。

しかし、アルミニウムは人体に悪影響を及ぼすともいわれています。

脳に蓄積されると認知症のような状態になるともいわれているのです。

アルミニウム入りの制汗剤は自分の判断でつけるのではなく、病院で処方してもらい、医師の指示をしっかり守って使いましょう。

ところで、肉を多く食べる人は汗をかきやすいって聞いたことはありますか?

肉のようなたんぱく質は消化される際に熱を放つため、汗が出やすくなるのです。

多汗症とは関係ないかもしれませんが、覚えておくといいでしょう。

また、水をたくさん飲むと汗をかくというのは勘違いです。

健康な状態では水分はほとんど尿となって排出されますし、多汗症でも飲む水の量と汗の量は関係ありません。

服装の工夫も多汗症の対策としては効果的。

汗じみの目立たない服を着れば多少の汗は気になりませんし、『汗をかいても大丈夫』と開き直ることができます。

直接多汗症を治すことはできなくても、気を楽に持つことで多汗症の症状を和らげることができます。

多汗症の手術

多汗症、特に手のひらの多汗症は手術で完治が望めます。

多汗症治療のために行われる手術は、交感神経を切除するというもの。

交感神経が活発に動く時に汗をかくのが多汗症なので、
この交感神経の余分な分をなくしてしまうことで汗をかかないようにするのが目的です。

多汗症手術はまず全身麻酔をし、わきの下に小さな穴を開けます。

そこから胸腔鏡を挿入し、胸部交感神経を切除するのです。

手術時間はおよそ30分、入院することもほとんどありません。

ところで、この手術、どこの多汗症に効くものかわかりますか?わきの下?いいえ、違います。

答えは、手のひら。

手のひらの汗を止めるのにわきの下から手術をするなんて不思議ですが、
それだけ交感神経は色々なところに伸びているということですね。

ちなみに、足の汗を止めるには腰付近の交感神経を切除します。

さて、手のひらの場合は先述の手術でほとんど多汗症が治ります。

手術跡も目立たなくいいことずくめのようですが、少なからずデメリットもあります。

それが代償性発汗。代償性発汗とは、多汗症の手術後に手のひらの汗は止まっても、別のところに汗をかくようになること。

人によってまったく代償性発汗が起こらないこともありますが、そういうこともあると知っておいた方がいいでしょう。

他にも手が乾きすぎる、頭痛がするなどの副作用が出ることもあります。

メリットだけではない多汗症の手術。信頼のおける医師とじっくり相談してから行ってください。

多汗症の治療

多汗症の治療は大きく分けて3種類。精神療法、薬物療法、手術、です。

多汗症の原因は精神的なものだけではありませんが、精神療法が多汗症の治療に有効であることも事実。

特に、汗をかくこと自体に強く恐怖を感じているような状態なら、精神療法がおすすめです。

精神療法ではカウンセリングで多汗症への恐怖感をやわらげたり、交感神経の働きを正常にしていくなどの効果が得られます。

薬で汗を抑える薬物療法では、神経遮断薬である抗コリン剤を用いるのが一般的。

抗コリン剤は汗をかくときに交感神経から出るアセチルコリンという物質を抑える働きがあり、多汗症に効くとされています。

ただし、口が渇いたり、便秘になったりといった副作用があるので、医師とよく相談してから飲むようにしましょう。

また、精神安定剤を多汗症の薬物療法に使うこともあります。

これは抗コリン剤のように物理的に汗を止めるのではなく、精神的な緊張を緩和して多汗症の症状を和らげることが目的です。

精神療法、薬物療法ともに完全に多汗症を治すものというよりは、症状を緩和させるもの。

完全に治すのなら手術が必要になります。多汗症の手術は発汗を促す交感神経をブロックすることが目的。

手のひらの汗ならわきの下を数センチ切り、胸腔鏡を使って胸部交感神経を遮断します。

全身麻酔が必要ですが、手術時間自体は短く、患者への負担が小さいことが特徴です。

多汗症の治療は皮膚科、心療内科、美容外科などで行われています。

多汗症とは

多汗症とは汗がたくさん出る病気のこと。

本来、汗は体温の上昇に伴って出るものですが、それとは関係なしに大量の汗が出るのが多汗症の特徴です。

多汗症で多く汗をかくのは手のひら、足の裏、わき、顔が中心。

汗が出るきっかけになるのは交感神経です。

交感神経とは心身の緊張などを司るもので、リラックスに関係のある副交感神経と対を成すもの。
なので、以前は多汗症は精神的な緊張やストレスによって汗をかくのだと思われていました。

しかし最近では、多汗症の原因は精神的なものだけではないことがわかってきています。

精神状態に関わらず交感神経が活発になった時に汗をかくのが多汗症なのです。

例えば、朝起きてすぐは交感神経が活発に動き出す時間。

そのタイミングで汗をかくこと、ありませんか?

もしあるのなら、それは多汗症なのかもしれません。

しかし、朝起きてすぐの体温上昇で汗をかいている可能性もあるので、必要以上に『自分は多汗症かも?』と思わないほうが無難。

多汗症に対する恐怖がより多汗症を引き起こすこともあります。

先ほどもいった通り、多汗症の原因は精神的なものだけではありません。

しかし、汗をかいたらどうしよう、という緊張で、よりたくさん汗をかいてしまう人も多くいるのは確かです。

むやみに多汗症に怯えることはあまりいいことではありませんよ。

多汗症の場合はそれこそぼたぼたと雫が落ちるくらい汗をかくので、ちょっと汗っかきなくらいなら心配はいりません。